採用に関する問題として、求人広告に掲載された情報と実際の労働条件が一致しないことによるトラブルが増えています。
求人広告に記載された給与、勤務時間、福利厚生などの条件が、実際の採用後に異なる条件での契約になる場合があり、トラブルになるケースが多いようです。
職業安定法第5条の3によれば、ハローワークや雇用者または派遣事業者は、労働者の募集や職業紹介を行う際に、労働者に対して「従事すべき業務の内容、賃金、労働時間、その他の労働条件を明確に示さなければならない」と規定されています。
求職者は、仕事を探す際に最も重要視する労働条件として、求人広告に掲載されている仕事の内容、雇用形態、賃金、勤務時間、勤務場所などを確認し、その企業に応募するかどうかを検討します。
もし求人広告に誤解を招く表現がある場合、職業安定法に違反することとなり、最高で6か月以下の懲役刑または30万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
求職者への情報開示義務を怠ることは、企業に法的な罰則が科されるリスクだけでなく、求職者に不信感を抱かせ、採用が難しくなる可能性もあることを意識する必要があります。
採用された労働者が求める労働条件や待遇が実現されていない場合、やる気を失ったり仕事に対する意欲が低下したりすることがあります。
労働者のモチベーションが低下すると、生産性低下につながりやすいため、企業の業績に悪影響を与えることがあります。
また、労働者の離職率が上昇する可能性もあり、そうなると人材確保や人材育成に多大な時間やコストを費やす必要が生じます。
求人広告の虚偽や選考過程の不透明さが問題となった場合、求職者からの信頼度が低下し、人材が集まりにくくなる可能性があります。
労働条件の不適切な提供や労働法違反が問題となった場合、企業は社会的な非難を浴びることになり、広報活動やブランディングにも影響が出ることがあります。
また社員が不満を抱いている場合、ネット上での口コミやSNS上での批判が拡散される可能性があり、企業の評判やイメージを傷つけることになります。これらの問題が重なると、企業への信頼性が低下し、経営に悪影響を及ぼす可能性があります。
企業は採用トラブルを未然に防ぐために、事実と異なることのない正確な求人広告の作成や、選考過程の透明性の確保、労働法の遵守など、誠実な採用に心がけることが重要です。