1.Y社は、A社と結んだ期間3年のビルインテリアデザイン契約を履行するため、常駐担当者Xを新たに採用し配置した。ところが、Xが、入社間もなく病気を理由に欠勤し辞職したことから、A社との契約は解約された。そこでYは、1,000万円の得べかりし利益を失ったとして、Xと交渉の上、月末までに200万円を支払う旨の念書を取り付けた。しかし、これが履行されなかったため、その履行を求めて提訴したもの。
2.東京地裁は、
ⅰ)経費を差し引けば実損額はそれほど多額ではないこと、
ⅱ)労務管理に欠ける点があったこと、
ⅲ)Xの対応にも問題があることなどを勘案し、
3分の1の70万円と5分の遅延損害金の支払いを命じたもの。なお、判決は、確定した。
得べかりし利益は1,000万円であっても給与や経費を差し引けば実損額はそれほど多額にはならない、
紹介者の言を信じたのみでXの人物、能力等をほとんど調査しないなど採用に当って、Y社側にも不手際があった、
期間の定めのない雇用契約は一定期間を置けばいつでも解約できることから月給者であるXに雇用契約上の債務不履行を問えるのは当月月末までであること、
XがYに、根拠のない非難を繰り返すのみで、話し合いによる解決をかたくなに拒絶していること等を総考慮すると、200万円の約3分の1の70万円に5分の遅延損害金の支払いを命じる。
引用/厚生労働省サイト