(1) 専門学校等を経営するY法人が、勤務時間内に職場のパソコンを利用して出会い系サイトに登録し大量の私用メールを送受信したことを理由として教師Xを懲戒解雇したところ、Xは、懲戒事由に該当する事実はなく解雇権を濫用したなどとして、地位の確認、未払賃金等の支払いを求めて提訴したもの。
(2) 福岡地裁久留米支部は、懲戒解雇事由に一応は該当するものの、その内容や程度、影響等からすると解雇権の濫用に当たるとしたが、福岡高裁は、Xの行為は、著しく軽率かつ不謹慎であり、学校の品位や名誉を傷つけるものであること、職務専念義務に違反することなどから、懲戒解雇は適法であるとした。
(1) Xの私用メールは、膨大な件数に達し、その約半数が勤務時間内に行われているなど、職責専念義務等に著しく反し、その程度も相当に重い。
(2) Xの行為は、著しく軽率かつ不謹慎であり、学校の品位、体面及び名誉信用を傷つけるものである。
(3) 勤務時間中、学校のパソコンを用いて私用メールを長期間、かつ膨大な回数にわたって続けることが許容されないことは自明のことであって、パソコン使用規程を設けていたか否かで背信性の程度が異なるものでもない。
(4) 非違行為の程度及び教育者であったことからすれば、懲戒解雇が苛酷なものとはいえない。
引用/厚生労働省