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年次有給休暇の基礎知識

年次有給休暇とは

有給休暇は、厚生労働省によると、「一定期間勤続した労働者に対して、心身の疲労を回復しゆとりある生活を保障するために付与される休暇のことで、「有給」で休むことができる、すなわち取得しても賃金が減額されない休暇」と定義されています。

引用/厚生労働省サイト

 

会社は従業員に対して有給休暇を付与することが法律上の義務になっています。

従業員の有給休暇の取得を妨げる場合は、労働基準法違反となり厳しい罰則も規定されています。

厚生労働省の「令和4年就労条件総合調査」の結果によると、労働者一人平均年次有給休暇取得率の年次水位は58.3%と過去最高の数字になっていますが、諸外国の有給休暇の消化率に比べるとまだまだ低水準です。

 

引用/厚生労働省「令和4年就労条件総合調査

 

年次有給休暇の付与日数

入社後6ヶ月間の継続勤務と労働日数の80%以上の出勤が条件となり、従業員に年次有給休暇を付与しなければなりません。

この制度は、正社員に限らず契約社員やパートタイム、アルバイトの従業員にも適用されます。有給休暇の付与は、所定労働時間や労働日数、勤続年数に応じて比例して行われる必要があります。

 

週所定労働日数が5日以上の者または週所定労働時間が30時間以上の者

 

週所定労働日数が4日以下もしくは1年間の所定労働日数が216日以下の者

 

有給休暇の付与単位

通常、有給休暇は1日単位で与えられますが、労使協定によっては時間単位での付与も可能です。また、労働者が希望し合意すれば、労使協定がなくても半日単位での付与が可能な場合もあります。

時間単位での付与は、年次有給休暇において最大5日までとなっています。

時間単位での付与は、労働者の状況に合わせて年次有給休暇を柔軟に取得できるようにするための制度ですが、労働者のリフレッシュを促進するため、原則として1日単位での取得を推奨しています。そのため、取得には制限があります。

 

有給休暇の基本的なルール

1.有給休暇の取得理由については問わない

有給休暇は、従業員のリフレッシュを目的とした制度です。

従業員が有給休暇を取得する際に、どこで何をするかについて、会社は関与する権利を持ちません。雇用主から利用目的を問われた場合でも、答える必要はありません。

雇用主としても、有給休暇の利用目的を尋ねること自体が即座に違法とはなりませんが、労働者が有給休暇の取得を事実上制限される恐れがあるため、事業運営への支障など特別な理由がない限り、利用目的を問わないようにしましょう。

 

2.時季変更権の行使

有給休暇の請求があった場合でも、「事業場の正常な運営に支障をきたす場合」には、使用者は労働者からの有給休暇の請求日を別の日に変更するよう命じることができます。

これを「有給休暇の時季変更権」といいます。

この場合、特に使用者から別の日を指定する必要はありません。労働者は変更された日以外で再度自由に休暇日を指定することができます。

「事業場の正常な運営に支障をきたす場合」とは、該当労働者の有給休暇の日における労働が、その者が従事する業務組織の運営に不可欠であり、代替の人員確保が困難な場合を指します。

 

3.有給休暇取得を理由に不利益な取り扱い禁止

使用者は、労働基準法の136条により、有給休暇を取得した労働者に対して賃金の減額やその他の不利益を与えてはなりません。

たとえば、昇給や昇格などの処遇において、有給休暇の取得を理由に不利益な取り扱いをすることはいけません。

 

有給休暇の時効

有給休暇を利用する権利は、権利が発生した日から2年以内に使用しなければ時効により消滅します。

有給休暇の権利は順次時効が発生するため、前年度からの繰越分の休暇権を持つ労働者から提出された有給休暇の申請については、本人から明確な申し出がなくても、前年度分の休暇として扱います。

 

取得の義務化

年に10日以上の有給休暇を付与した場合、基準日から1年以内に5日以上の有給休暇を取得させる義務があります。

対象労働者が5日分の有給休暇を期間内に取得していない場合、使用者は労働者ごとに取得時期を指定しなければなりません。

また、取得義務化の対象となる5日は、半日休または全日休でなければならず、時間単位の取得で義務化の5日を充足することはできません。

 

 

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