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メンタルヘルスケアの基本

メンタルヘルスケアとは

「メンタルヘルス」とは、精神面における健康状態のことを指します。この言葉は、直訳すると「心の健康」を意味します。

厚生労働省は、メンタルヘルスの要素として、情緒的健康、知的健康、社会的健康、人間的健康の4つを挙げ、これらが生活の質に大きな影響を与えるとしています。

「情緒的健康」とは、自分の感情に気づいて表現できること、「知的健康」は、状況に応じて適切に考え、現実的な問題解決ができること、「社会的健康」は、他人や社会と建設的でよい関係を築けること。「人間的健康」とは、人生の目的や意義を見出し、主体的に人生を選択すること、と定義しています。

メンタルヘルスは、精神的な問題を抱える人だけでなく、誰にでも関わる重要な問題です。職場においても、従業員のメンタルヘルスの状態が生産性や勤務態度に影響を与えるため、メンタルヘルス対策は非常に重要です。

従業員のメンタルヘルスについては、上司や同僚が気づきやすく、共感やサポートを行うことが求められます。そして、上司や同僚だけでなく、組織全体がメンタルヘルス対策に取り組むことで、職場全体の健康増進につながります。

引用参考/厚生労働省サイト

 

職場でのメンタルヘルスの現状

厚生労働省の「職場におけるメンタルヘルス対策の状況」によると、メンタルヘルスケアに取り組んでいる事業所の割合は約6割で、4割の事業所が取り組めていない状況にあります。

また、仕事や職業生活に関する強い不安、悩み、ストレスを感じる労働者の割合は、半数を超えており、事業所のメンタルヘルス対策が急がれる結果となっています。

 

 

引用/厚生労働省サイト

 

3つの予防

■一次予防:未然防止

一次予防においては、ストレスを発生させない職場をつくることが大切です。仕事量や組織形態、仕事環境、仕事方法など、ストレス要因となる職場環境の問題点を把握し、改善していきます。例えば、部下の負担が大きくなりがちな部署の場合、業務の見直しや作業の分担、労働時間の見直しなどで負担軽減を図ることが有効です。

また、従業員のストレスを把握するためには、定期的なストレスチェックが有効です。ストレスの原因を特定し、早期に対処することで、メンタルヘルス不調を未然に防ぐことができます。

さらに、従業員がストレスを感じたときに、上司や同僚が適切な対応を行うことも大切です。ストレスを抱えていることに気づいた場合には、一度話を聞いてあげるだけでもストレス解消に繋がります。上司や同僚は、相手の気持ちに共感し、適切なアドバイスをすることで、ストレス解消に貢献することができます。

ストレスを未然に防ぐことで、中長期的なメンタルヘルス不調の予防につながるため、一次予防の対策は大変重要です。

 

■二次予防:早期発見と対応

二次予防では、ストレス状態を早期に発見し、適切な対応を行います。

メンタルヘルス不調には、労働者が自分で対処することにより比較的早期に回復することのできる状態もあれば、精神科医などの専門家の助けがなければ回復しないほど深刻な状態など、従業員によっては様々なケースがあるため、メンタルヘルス不調に陥った人に対しては、できるだけ早い段階で支援を行い、深刻な状態にならないように対策を講じることが大切です。

メンタルヘルス不調の状態は、深刻化すれば職場の雰囲気や労働者の健康に悪影響を与えるため、早い段階で従業員のメンタルヘルス不調に気づき早期の対応が必要です。

 

■三次予防:職場復帰支援・再発予防

三次予防では、メンタルヘルス不調に陥った労働者が職場復帰を果たすための取り組みを行います。

メンタルヘルス不調に陥ってしまった労働者は、回復後も職場復帰ができるかどうか不安を抱えています。また、復職後の職場での受け入れがスムーズでなかったり、再発のリスクが高い環境で働くことが不安になることも少なくありません。そのため、職場復帰を支援する取り組みが重要となります。

具体的な支援としては、復帰前にリハビリテーションプログラムを行い、徐々に職場復帰に向けて準備を進めることが挙げられます。

また、職場での環境改善や配慮、労働時間や業務量の調整など、復帰後の職場環境の整備も大切です。そして、復帰後は適切なフォローアップを行い、職場でのストレスや負担を最小限に抑え、再発を防ぐことが求められます。

 

4つのケア

■セルフケア

従業員に対してセルフケアの方法を教育研修や情報提供などで支援することが大切です。従業員が自らのストレス状況に気付き、ストレスへの対処法を知ることができるようにするために、ストレスやメンタルヘルスについての正しい理解を促し、ストレスチェックなどを活用してストレスに気付くことができるようにすることが必要です。

 

■ラインケア

管理監督者は、直属の部下の異変にいち早く気づき、ストレスの軽減を図ることが求められます。特に、部下の精神疾患に関しては、本人も気づかずに進行してしまうことがあります。そのため、ラインケアは非常に重要であると言えます。

ラインケアの具体的な取り組みとしては、定期的な面談やフィードバックの提供、職場環境の見直しや改善などが挙げられます。また、部下のストレスチェックの結果や勤務データの確認などもラインケアの一環として行うことができます。

ラインケアは、部下のメンタルヘルス不調を未然に防ぐことができるだけでなく、早期発見・対応にもつながります。管理監督者は、自身の職責を果たすためにも、ラインケアの重要性を認識し、積極的に取り組んでいくことが必要です。

 

■事業場内産業保健スタッフ等によるケア

産業医や保健師、人事労務管理スタッフなどが行う、メンタルヘルスケアに関するケアのことを指します。具体的には、従業員のメンタルヘルスケアについての企画立案や相談対応などを行います。

産業保健スタッフ等は、従業員や管理監督者がセルフケアやラインによるケアを効果的に実践できるよう、支援を行います。例えば、メンタルヘルスに関する教育研修の企画や、ストレスチェックの結果を踏まえた対応の提案、必要に応じた医療機関への紹介など、幅広い分野で活躍しています。

事業場内産業保健スタッフ等が中心となってメンタルヘルスケアを推進することで、従業員のメンタルヘルスを守り、職場全体の健康維持に貢献していくことが求められています。

 

■事業場外資源によるケア

「事業場外資源によるケア」とは、第三者の専門的な機関や専門家を活用し、その支援を受けることを指します。労働者がストレスやメンタルヘルス不調を抱えてしまった場合、自社内のケアだけではなく、外部の機関や専門家のサポートを受けることで、より効果的に回復につながることがあります。

たとえば、外部相談窓口では、専門のカウンセラーや心理士が労働者の相談に応じ、適切なアドバイスを提供することができます。また、復職支援においては、専門のコンサルタントが労働者のスキルやキャリアを考慮しながら、適切な職場の選定や職務内容の調整を支援することができます。

 

 

 

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