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募集・採用でトラブルを起こさないポイント

求人広告と実際の労働条件の相違

求人票と実際の労働条件に相違が生じる理由として下記が挙げられます。

■企業側の採用方法が確立されていない

企業側の採用方法が適切でない場合、求人票と実際の仕事内容や待遇が異なることが起こり得ます。求人票に明確な求める人物像が示されていなかったり、採用の方針が定まっていなかったりすると、求人票と実際の職場環境が食い違う可能性があります。

■応募者に対する説明が足りていない

応募者への説明が不十分な場合、入社後のミスマッチが生じる恐れがあります。

求人票には全ての情報を記載することは難しいため、仕事内容や待遇面に食い違いが生じる可能性もあります。

■過剰な求人広告

求人広告は、応募者を引きつけるために現実より過剰的な表現で掲載していることがあります。企業によっては、正直に記載すると応募者が集まりにくいという理由から、不利な情報を載せない可能性もあります。

 

令和3年度 ハローワークにおける求人票の記載内容と実際の労働条件の相違に係る申出等の件数」によると、令和3年度の求人票の記載内容と実際の労働条件の相違に係る申出件数は3,870件だったようです。

ハローワーク

 

引用/「令和3年度 ハローワークにおける求人票の記載内容と実際の労働条件の相違に係る申出等の件数

 

求人募集でやってはいけないこと

性別による差別の禁止

男女雇用機会均等法第5条によれば、「事業主は、労働者の募集および採用において、その性別に関係なく均等な機会を与えなければならない」と規定されています。

そのため、募集や採用において特定の性別を優先したり、排除することは禁止されています。女性差別はもちろん、男性を差別することも許されません。

「看護婦」や「保母」といった職種名が「看護士」や「保育士」に変更されたのは、男女雇用機会均等法に基づく措置です。

求人広告に、画像やイラストを使用して特定の性別の従業員が多いことをアピールすることは問題ありませんが、応募者が希望する性別の人材でなかった場合でも、公平な選考を行う必要があります。

 

年齢制限を理由に求職者を拒否することは禁止されています。

年齢制限を理由に求職者を拒否することは禁止されていますが、以下の例外があります。

・定年年齢を上限とし、その年齢未満の労働者を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合
・労働基準法等で年齢制限が設けられている場合(危険有害業務の募集など)
・特定の年齢層が極端に少ない技能
・ノウハウの継承が必要な職種において、期間の定めのない労働契約で募集・採用する場合
・キャリア形成のために長期勤続を図る場合、若年者など特定の年齢層を期間の定めなく募集・採用する場合
・表現の真実性が求められる芸術・芸能において、子役として活動する場合
・60歳以上の高年齢者や就職氷河期世代の不安定就労者・無業者、または特定の年齢層の雇用促進施策(国の施策を活用する場合に限る)の対象者に限定して募集・採用する場合

年齢制限を設ける場合でも、必要な範囲内に留め、職務に応じた能力や適性を確認して採用を決定するようにしましょう。

引用/厚生労働省サイト

 

本人の適性や能力に関係のない事項への質問や提出の禁止

採用選考において、本人の適性や能力に関係のない事項について質問したり提出させたりすることは禁止されています。

例えば、出身国や地域、難病の有無、LGBTなど性的マイノリティに関する情報を求めることは、就職差別に繋がる可能性があるため、避けるようにしましょう。

厚生労働省の報告によると、令和3年度のハローワークのデータにおいて、「本人の適性・能力以外の事項を把握した」と報告された件数は864件であり、そのうち約40%が「家族に関する事項」についての質問であったとされています。

面接の雰囲気を和ませるために、つい質問してしまうケースが多いですが、本人の適性や能力に関係のない事項についての質問は避けましょう。

 

■応募者の個人情報の漏洩

応募者は、氏名、住所、電話番号、メールアドレスなどの個人情報を提供することになります。これらの情報は採用選考のために必要なものですが、適切な管理が行われなければ、漏洩や不正利用のリスクが生じます。

以下のポイントに留意することで、応募者の個人情報の漏洩を防ぐことが重要です。

■情報の収集と保管

応募者から提供された個人情報を適切に収集し、厳重に保管してください。アクセス制限やデータの暗号化など、適切なセキュリティ対策を導入することが必要です。

■内部の情報管理

採用担当者や関係者に対して、個人情報の機密性を強く意識させましょう。情報へのアクセス権限の制限やパスワードの定期的な変更など、内部の情報管理体制を整備しましょう。

■廃棄物の処理

個人情報が含まれる書類やデータを廃棄する際には、適切な方法で破棄・消去しましょう。情報が漏洩しないように注意し、廃棄物の管理を行います。

個人情報の漏洩は重大な問題であり、企業の信頼性や法的な責任にも関わることです。応募者の個人情報を適切に保護するために、情報管理に最大限の注意を払いましょう。

 


求人募集には、一定の禁止事項がありますが、企業側には採用の自由があります。

採用結果に偏りがあっても、選考プロセスを公平に行っていれば問題はありません。

幅広い応募者を募集することで、予想外の優れたスキルや知識を持つ人材に出会う可能性も広がりますので、積極的に求人募集や採用活動を行うことをおすすめします。

公正で透明な求人募集と適切な採用活動を行うことが、企業の人材確保と成長につながるでしょう。

 

 

求人広告と実際の労働条件の相違