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ハラスメント対策でトラブルの未然防止

職場においてハラスメントが発生すると、被害者の心身の健康を害するだけでなく、組織全体の雰囲気や生産性にも悪影響を及ぼす可能性があります。

令和3年度個別労働紛争解決制度の施行状況」によると、近年「いじめ・嫌がらせ」の相談件数が他の相談内容と比較して圧倒的に多く、ハラスメント対策が急がれる結果となっています。

 

グラフ

引用/令和3年度個別労働紛争解決制度の施行状況

 

ハラスメントとは

職場におけるハラスメント(Harassment)とは、相手の意に反する行為によって不快感を与え、その人の尊厳を傷つけたり脅したりすることを指します。

これは「いじめ」や「嫌がらせ」と同等の意味合いを持つ行為です。

ハラスメントは、意図があって相手を傷つけたりいじめたりする場合だけでなく、傷つけたり嫌がらせの意図はなくても、相手が不快な感情を抱いた場合にも成立します。つまり、自分自身が相手を傷つけるつもりがなかったとしても、相手が不快に感じる行為が行われれば、それはハラスメントとされます。

 

パワハラの定義

パワハラ(パワーハラスメント)は、過労死やうつ病の原因ともされる深刻な問題です。厚生労働省はパワハラを、「職場において業務上の地位や人間関係などの優位性を背景に、適正な業務範囲を超えて他者に精神的または身体的な苦痛を与える行為や職場環境を悪化させる行為」と定義しています。

一般的に、パワハラは上司が部下に対して行う嫌がらせやいじめとされていますが、実際には先輩と後輩、部下から上司へ、同僚同士など、職場内のあらゆる関係において発生する可能性があります。

 

パワハラは以下の6つに分類されます。

■身体的な攻撃

相手の体に危害を与えるような行為、たとえば殴ったり蹴ったりする「身体的な攻撃」は、パワーハラスメントに該当します。また、相手の体に直接触れていないものの、物を投げたり物で叩いたりする行為も同様に該当します。

・殴る、蹴る、引っ掻くなど、相手の身体に直接的な危害を与える行為。
・物を投げたり、物で叩いたりして、相手の身体に危害を与える行為。

 

■精神的な攻撃

相手に精神的なダメージを与える行為、たとえば人格否定に値する言葉やメールの「精神的な攻撃」は、パワーハラスメントに該当します。「精神的な攻撃」は、脅しや暴言、侮辱、名誉を棄損する発言などによって行われます。また、言葉だけでなく、メールなどを通じた攻撃も該当します。

・相手を脅す言葉や脅迫的な発言
・侮辱的な言葉や人格を攻撃する発言
・電子メールやメッセージを通じた攻撃的な言葉や嫌がらせ

 

■人間関係からの切り離し

組織内の人間関係は、効率的な業務遂行において非常に重要な要素です。しかし、「人間関係の切り離し」と呼ばれるパワーハラスメントは、対象者を孤立させる手段として、隔離、無視、仲間外れなどの行為を通じて発生します。

・社員全員が参加するイベントに1人だけ招待されない
・上司の意に沿わない発言をした結果、プロジェクトメンバーから外され、別の場所での業務を命じられる
・同僚に話しかけても無視される

 

■過大な要求

1人だけでは明らかに遂行困難な業務や、長時間労働がなければ完遂できない業務などを要求する行為は、「過度な要求」となります。また、業務とは無関係な私的な仕事を押し付けることも該当します。

・1人で実行が困難な業務を1人に押し付ける
・長時間労働がなければ完了できない仕事を労働時間の範囲を超えて要求する

 

■過小な要求

好意を持たない相手に対して、その能力や経験に合わない仕事を課したり、仕事を与えない行為は、「過小な要求」とされます。

・能力や経験に見合わない仕事を無理に割り当てる
・優れたスキルを持つ労働者に対して、単純で低レベルな業務しか与えない

 

■個の侵害

従業員のプライバシーを侵害する行為も、パワーハラスメントに該当します。

・社員の私的な情報を不適切に公開する
・個人の信条や趣味に対して差別的な発言や嘲笑する
・プライベートな時間や休暇を侵害し、無理な要求をする

 

事業主が講ずべき対策措置

事業主が必ず講じなければならない措置は以下のとおりです。


ハラスメントの内容や方針についての明確化と周知・啓発

相談に応じ、適切に 対応するために 必要な体制の整備

職場におけるパワハラに関する事後の迅速かつ適切な対応

併せて講ずべき措置


 

有効なハラスメント対策

事業主が講ずべき雇用管理上の義務を踏まえた有効な対策について以下に紹介します。

■明確な方針の策定と周知

パワハラを禁止する規定や定義を、就業規則や社内ルールに明示し、労働者に周知することが重要です。労働者が規定の存在を適切に知ることが必要です。周知のためには、パワハラに関する研修や講習を実施することも有効です。

また、パワハラを行った者に対する処分に関する規定を就業規則や社内ルールに明記し、労働者に周知・啓発することを指します。

■啓発活動の実施

ハラスメントについて従業員が正しく理解し、自らの行動に反映できるようにするために、啓発活動を実施することが重要です。定期的に研修や講演会を開催し、ハラスメントの定義や発生原因、被害者が受ける影響などを周知させます

■相談窓口の設置

相談窓口を設置し、被害者がハラスメントに遭った場合には、迅速かつ適切な対応を行うことが必要です。相談窓口を設置することで、被害者が相談しやすい環境を整え、早期発見・解決につなげます。

この相談窓口は、内部設置だけでなく外部の専門家による窓口設置も有効です。内部に設置する場合は、相談受付窓口と人事部門が連携できるようにすることで、ハラスメントが発生した場合に迅速な対応が可能となります。また相談を受けた際のマニュアルを作成しておくことで、、対応に漏れがありません。

■行為者、被害者に対する適切な措置の実施

ハラスメントを行った行為者に対しては、厳正な処分を徹底し、再発防止につなげます。

〇事実関係の迅速かつ適切な対応
相談窓口担当者や人事部門などが、相談者および行為者からの聴取、第三者からの聴取、その他の証拠の収集を行います。

〇被害者に対する適正な配慮の措置の実施
企業は、前述の「事実関係の迅速かつ適切な対応」で認定した事実に応じて、パワハラを受けた労働者に対する適正な配慮の措置を行います。

〇行為者に対する適正な措置の実施
企業は、前述の「事実関係の迅速かつ適切な対応」で認定した事実に応じて、パワハラをした者に対して、懲戒処分などの適正な措置を実施します。

〇再発防止策の実施
アンケートの実施や研修の実施、行為者の懲戒処分の公表などによって、再発防止に努めます。

■ハラスメント教育の徹底

従業員に対してハラスメントの認知度を高めるために、ハラスメント教育を徹底することも重要です。ハラスメントの定義や発生する背景、被害者の心理状況や対処法などを理解させることで、ハラスメントを未然に防止することができます。 ハラスメント教育は、新規従業員の入社時に実施するだけでなく、定期的に繰り返し実施することで、従業員にとって常に意識すべき問題となるようにします。

また、継続的に教育を実施することで、ハラスメントが発生してからではなく、事前に予防的な対策を取ることができます。従業員がハラスメントを目撃した場合の対応方法や、上司や相談窓口への報告方法も教育することで、従業員が適切な行動を取れるようにすることが重要です。

 

ハラスメント対策でトラブルの未然防止